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1週間かかる、は誰の話か

公開

キーボードの手前に置くポインティングデバイスを使い始めました。マウスへ手を伸ばす動作が消えます。

レビューを読むと、だいたい「慣れるまで1週間はかかる」と書いてあります。自分は2〜3日で普通に使えるようになりました。

速く慣れたという話ではありません。その1週間を、自分はすでに別のところで払い終えていただけです。

この記事で扱うこと

「慣れるまで1週間」という数字が誰の話なのか、慣れる対象を分けて数えるとどうなるか、そして買う前に見るべきなのは期間ではないという話です。

何を置き換えたのか

これはトラックボールの一種で、キーボードの手前に置いて、親指や指でボールを回してカーソルを動かします。

マウスを使っていると、カーソルを動かすたびに右手をキーボードから離して横へ振ります。1回は小さな動作ですが、1日に何百回も繰り返します。手前に置くデバイスなら、その振る動作がなくなります。

肩の開き方が変わるので、長時間の作業で姿勢が戻らなくなる感覚は減りました。ただ、それはこの製品でなくても、手前に置くデバイスなら得られる効果です。

実際の置き方

HHKBの手前にKeychron Nape Proを置き、左右に分かれた木製パームレストの真ん中に収めた机の上
奥がHHKB、手前がNape Pro。左右の木がパームレストで、その間にちょうど収まっている。

キーボードは HHKB Professional HYBRID Type-S で、その手前に Nape Pro を置いています。

パームレストは左右に分かれていて、その真ん中に Nape Pro が入ります。分離型を選んだのは見た目の好みではなく、ここに置き場所が必要だったからです。

一体型だと、この場所が空かない

横に長いパームレストを置くと、キーボードの手前はそれで埋まります。手前に置くデバイスを使うなら、パームレストの形まで連動で決まります。

デバイスを選んだ時点では気づいていませんでした。

手は左右のパームレストに載せたままで、指だけでボールに届きます。木なので沈み込まず、手首の高さが一定に保たれます。

キーボードに貼ってある付箋は、接続先の番号です。Nape Pro もキーボードも複数の機器に繋がりますが、どの番号がどの機器かは覚えていられませんでした。覚えておくことを前提にした仕組みは、たいていこうなります。

「慣れる」は1つのことではない

ここが今回いちばん考えた部分です。

「慣れるまで1週間」と書かれると、1つの壁を1週間かけて越えるように読めます。実際には別々のものが3つあり、それぞれ独立して越える必要があります。

慣れる対象 中身
ボールでカーソルを動かす 指の動きと画面の動きが結びつくまで。狙った場所で止まらない期間がある
手を右へ振らない姿勢 マウスを取りに行く動作が体に残っている。空振りする
ボタンの割り当て どの操作をどこに置くか。決めて、指が覚えるまで

マウスから乗り換えた人は、この3つを同時に相手にします。だいたい1週間、というのは妥当な数字だと思います。

自分の場合、1つめは終わっていた

その前に使っていたのが、ロジクールのトラックボールでした。

つまり「ボールでカーソルを動かす」は、乗り換える前から体に入っていました。残っていたのは置き位置とボタンの割り当てだけです。2〜3日というのは、そのぶんが短くなった数字にすぎません。

払っていないのではなく、先に払っていた

そのロジクールのトラックボールを使い始めたときは、1〜2週間ほど操作に苦労しました。

狙ったところで止まらない、細かい選択ができない、そのたびに手が止まる。あの期間はきちんとあって、しかも今回より長かったです。

並べてみると分かりやすくなります。マウスからトラックボールへ移った時点で1〜2週間、そこからこの製品へ移って2〜3日。合計すれば、結局「1週間より長い」ところに着地しています。

レビューの「1週間」は、間違っていない

ここを取り違えないようにしたいと思いました。

1週間という数字は、マウスから来た人にとっては正しいのだと思います。3つを同時に越えるならそのくらいかかります。書いた人が誇張しているわけではありません。

問題は、その数字に「どこから来たか」という前提が書かれていないことです。前提が省かれた数字は、条件の違う人にそのまま当てはめられてしまいます。

数字には、書いた人の出発点が含まれている

「慣れるまで◯日」は、製品の性質だけで決まる値ではありません。製品と、その人が何を使っていたかの差で決まります。

同じ製品でも、出発点が違えば別の数字になります。どちらも嘘ではありません。

買う前に見るべきなのは、期間ではない

そう考えると、検討している人が確かめるべきなのは日数ではなくなります。

いま何を使っているか。マウスなら、上の3つを全部越えることになります。すでにトラックボールなら、越えるのは2つです。ここが分かれば、レビューの数字を自分向けに読み替えられます。

逆に言うと、「何日で慣れました」とだけ書かれたレビューは、そのままでは使えません。読むときは、その人が前に何を使っていたかを探すことになります。

正直に書いておくこと

この製品はクラウドファンディングで手に入れたので、一般の発売より前から使っています。そのぶん使用期間はありますが、周辺の情報はまだ少ない状態です。困ったときに検索して出てくる記事の数は、定番の製品とは比べものになりません。

それと、ここまで書いてきたのは操作に慣れるまでの話だけです。長く使ったときに手や肩がどうなるかは、まだ判断できる段階にありません。分かったらあらためて書きます。

使っているもの

Nape Pro(ホワイト)Keychron

使っている理由
マウスへ手を伸ばすたびに姿勢が崩れるのをやめたかった。キーボードの手前に置いて、手を離さずにカーソルを動かす。
効いた点
肩が開いたまま作業できる。手を右へ振る動作が消えるので、長時間の作業で姿勢が戻らなくなる感覚が減った。
合わなかった点
慣れるまでの期間は、いま何を使っているかで変わる。マウスから移ると1週間ほどかかるが、すでにトラックボールを使っていれば2〜3日で足りる。あと、まだ情報が少ないので困ったときに検索しても出てこない。

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今回の学び

まず、「慣れるまで◯日」は製品の値ではないこと。製品と、その人の出発点との差で決まります。数字だけを取り出すと、自分に当てはまるかどうかが判断できません。

次に、前提が省かれた数字ほど、そのまま信じられてしまうこと。1週間という数字には「マウスから来た場合」という条件が付いていましたが、書かれていませんでした。書いた人にとって当たり前すぎる前提ほど、文章から抜け落ちます。

そして、自分が書くときも同じ立場になること。「2〜3日で慣れた」とだけ書けば、同じ落とし穴を作ることになります。前に何を使っていたかを一緒に書いておかないと、読んだ人の役に立ちません。

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