GA4を入れる前に決めたこと

サイトを作って公開しました。ここまで、誰がどのページを見ているのかを一度も見ていません。
見なくても作れてしまうのが、個人サイトの怖いところです。手応えの代わりになるものが何もないまま、次に何を直すかを勘で決めることになります。今回はその状態を終わらせるために、Googleアナリティクス4(GA4)を入れました。
GA4のプロパティとデータストリームの作り方、そのときに聞かれる設問への答え方、測定IDの意味。そして「計測を入れる前に決めておくべきこと」。手順そのものより、なぜその選択をしたかを中心に書きます。
計測を入れる前に決めたこと
最初に、数字を見て何をするつもりなのかを決めました。これを決めずに入れると、毎日ダッシュボードを眺めて満足するだけの習慣ができます。
このサイトで知りたいことは3つでした。
| 知りたいこと | それが分かると何ができるか |
|---|---|
| どの記事が読まれているか | 次に書く記事の題材を、勘ではなく実績で決められる |
| どこから来ているか | 検索経由が少なければ、書き方ではなく見つけられ方に問題があると分かる |
| 途中で離脱していないか | 記事の構成や長さを見直す根拠になる |
逆に、追わないと決めたものもあります。ユーザー数の絶対値です。個人のポートフォリオで、月間の訪問者数を増やすこと自体を目標にすると、内容と関係のない集客に手が伸びます。ここでは「読まれ方の質」だけを見ることにしました。
アカウントとプロパティの関係
GA4は入れ子構造になっていて、最初にここでつまずきます。
アカウント(KiSAKU)
└ プロパティ(kisaku.site) ← データが貯まる単位。レポートはここで見る
└ データストリーム(ウェブ) ← 計測タグを置く対象。1つのURL群に対応する
覚え方としては、プロパティが「1つのサービス」、データストリームが「その入り口」です。ウェブサイトとiOSアプリを両方持っているなら、プロパティは1つでストリームが2つになります。同じサービスの利用者を、端末ごとに分断せずに見られます。
逆に、まったく別のサイトを同じプロパティに入れてはいけません。レポートが混ざって、どちらの数字も読めなくなります。今回は kisaku.site 専用のプロパティを新しく作りました。
作成時に聞かれること
プロパティを作ると、いくつか設問が出ます。あとから変更できるものと、しにくいものがあります。
| 項目 | 設定した値 | あとから変えられるか |
|---|---|---|
| タイムゾーン | 日本(GMT+09:00) | 変えられるが、過去のデータは変換されない |
| 通貨 | 日本円 | 同上 |
| 業種 | コンピュータ、電化製品 | いつでも変更可 |
| ビジネスの規模 | 小規模 | いつでも変更可 |
| ビジネス目標 | トラフィックの分析/エンゲージメントと維持率の把握 | いつでも変更可 |
初期値はアメリカの時間帯です。そのままにすると「日付の変わり目」がずれ、日別レポートが実感と合わなくなります。しかも後から直しても、すでに記録されたデータは古い時間帯のままです。最初の1回しか正しく設定する機会がありません。
業種と規模は、初期レポートの構成を決めるためのものです。間違えても実害はほとんどありません。ビジネス目標も同様で、選んだ内容に応じて左メニューの項目が変わるだけです。ここで悩んで手が止まるくらいなら、近いものを選んで先に進むべきです。
データストリームと測定ID
プロパティを作ると、続けてデータストリームの作成を求められます。ここで入力するのは計測対象のURLです。
ストリーム名 : kisaku.site ウェブ
ウェブサイトのURL : https://www.kisaku.site
ストリームID : 15464874599
測定ID : G-872K3PN503
URLに www を付けたのは、このサイトの正規のアドレスが www.kisaku.site だからです。kisaku.site(wwwなし)にアクセスすると、www 付きへ転送されます。転送先のほうを登録するのが正しい選び方です。
ここで出てくる G- から始まる文字列が測定IDです。これがサイトとGA4のプロパティを結びつける鍵になります。
この値はサイトのHTMLに出力され、ブラウザの開発者ツールで誰でも見られます。隠す必要はありませんし、隠せません。パスワードやAPIキーと同じ扱いをする必要はない、と最初に理解しておくと迷わずに済みます。
タグを直接貼らなかった理由
GA4は、測定IDを含む数行のスクリプトをサイトに貼れば動きます。それがいちばん短い道です。
しかし今回は貼りませんでした。代わりにGoogleタグマネージャー(GTM)を経由させています。
理由は、計測の内容は必ず後から変わるからです。今はページビューだけで十分でも、そのうち「どのリンクが押されたか」「記事をどこまで読んだか」を知りたくなります。タグを直接書いていると、そのたびにコードを直し、ビルドし、デプロイすることになります。
デプロイが必要ということは、計測を変えるたびにサイトが壊れる可能性が生まれるということでもあります。本質的に関係のない2つのことが、同じ操作に結びついてしまっています。
GTMを挟むと、この2つが切り離せます。計測の変更はGTMの画面だけで完結し、サイトのコードには一切触れません。GTMの構成は次の記事で扱います。
なぜ「入れただけ」では不十分なのか
ひとつだけ、先に書いておきます。
このサイトはNext.jsで作られていて、リンクを押してもページ全体を読み込み直しません。画面の中身だけを差し替えて、アドレスバーの表示を書き換えます。表示は速くなりますが、計測の側から見ると「1回読み込まれたきり、ずっと同じページを見ている」ようにしか見えません。
この状態で放置すると、記事を10本読んだ人も、トップページだけ見て帰った人も、同じ「1ページビュー」として記録されます。
タグを貼ってリアルタイムに自分のアクセスが出れば、動いているように見えます。しかしこの状態のGA4は、実態とかけ離れた数字を、正しい顔で出し続けます。数字が無いより、間違った数字があるほうが判断を誤ります。
この対処が、今回いちばん手間のかかった部分です。次の記事で扱います。
今回の学び
まず、計測は「入れる」より「何を見るか決める」ほうが先だということ。ツールは何でも記録してくれますが、見る対象を決めていないと、記録されたものを眺めるだけで終わります。追わないものを決めておくのも同じくらい大事でした。
次に、最初の1回しか設定できない項目があること。タイムゾーンがそれでした。あとで直せる項目とそうでない項目が同じ画面に並んでいて、見た目からは区別できません。「変えられるか」を先に調べるだけで、後戻りの多くは防げます。
そして、短い道が最善とは限らないこと。タグを直接貼れば5分で終わりました。GTMを挟んだぶん手順は増えましたが、この先の変更が全部コードの外側で済むようになります。一度きりの作業を短くするか、繰り返す作業を短くするかという選択でした。