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勉強法(5) 手順は残らない。判断は残る

公開

このサイトの作業は、かなりの部分をAIと一緒に進めています。

気になっていたのは、それで自分に何か残るのかということでした。60本を超えた時点で、残ったものと残らなかったものがはっきり分かれています。

連載「エンジニアの勉強法」(全6回)

第5回。前回:教える側に回ると、穴が見える 次回:効いたのは、技術そのものではなかった(近日公開)

この記事で扱うこと

何が残って何が残らなかったか。そして、残るかどうかを分けていたのが何だったかです。

残らなかったもの

正直に書くと、手順は覚えていません。

やったこと いま書けるか
DNSにTXTレコードを足す 画面を見れば分かるが、手順は覚えていない
構造化データの書き方 項目名を覚えていない
日付を決まった形式に直す 曜日と月名の並びは調べ直す

ここは開き直っています。調べれば出るものを覚えておく理由が薄いからです。AIと組む前から、この手のものは毎回調べていました。

残ったもの

残ったのは、「なぜそれを選んだか」のほうでした。

たとえば、同意を取る仕組みを作ったとき。先に読み込んでおいて送信の可否だけ切り替える方法と、同意まで読み込まない方法があります。後者を選びました。

理由は、前者だと自分のコードを全部読んでも「送っていない」と言い切れないからです。判断が相手の設定に移ってしまう。

この判断は覚えています。手順は忘れても、何を基準に選んだかは残りました。

残っているのは、迷った場所だけ

並べてみると、覚えているのは全部迷った場所でした。

すんなり決まったところは覚えていません。2つの案を比べて、片方を捨てた場所だけが残っています。捨てた理由が、そのまま基準になっているからだと思います。

分かれ目は「確かめられるかどうか」だった

残るものと残らないものを分けていたのは、時間でも回数でもありませんでした。自分で確かめたかどうかです。

分かりやすい失敗があります。

読了の判定が正しく動いているかを、ブラウザを自動で動かして確かめました。記事を最後までスクロールさせても、読了として記録されない。「不具合がある」と結論を出しかけました。

念のためスクロールのイベント回数を数えたら、0回でした。自動で動かしているタブでは、そもそもイベントが発生していません。不具合が無くても同じ結果になります。

確かめずに直していたら、動いているものを壊していた

ここで分かったのは「読了が記録されない」ではなく、「この方法では確かめられない」ということだけでした。

AIと組んでいると、答えは早く出ます。早く出た答えを確かめる手段を持っていないと、間違いも同じ速さで進みます。速いぶん、戻る距離も伸びます。

この一件は強く残りました。自分で数えて、自分で結論を取り下げたからです。

残す作業を、意識的にやっている

放っておくと残らないので、2つだけ決めています。

1つめは、コードに「なぜ」を書くこと。処理の説明ではなく、その選択をした理由と、選ばなかった案を書きます。書こうとすると、自分が理由を説明できるかが分かります。書けないときは、分かっていません。

2つめは、記事にすること。このサイトの記事は、ほぼ全部が詰まった話です。人に読める形にするには、何が起きて、なぜそうしたかを順に並べる必要があります。並べられない部分が、理解の穴です。

やらないと やると
コードの「なぜ」 半年後に同じ場所で悩む 判断ごと残る
記事にする やった記憶だけ残る 説明できない部分が見つかる

どちらも、AIには代わりにやってもらえません。説明できるかどうかを確かめているのは自分の理解なので、代わりに書いてもらった時点で意味が無くなります。

向き不向きはある

全部が同じようにうまくいったわけではありません。

手を動かして覚えるもの——たとえば攻撃の手順を実際に試すような学び方は、読んだだけでは半分しか入りませんでした。体で覚える部分は、代わりにやってもらうと何も残りません。

逆に、調べれば分かることを大量に集めてくる作業は、任せたほうが早い。分ける基準は「自分の判断が要るかどうか」でした。

今回の学び

まず、手順は残らないが、判断は残るということ。覚えているのは全部、2つの案を比べて片方を捨てた場所でした。捨てた理由が基準として残っています。

次に、確かめる手段を持っていないと、間違いも同じ速さで進むこと。早く答えが出ること自体は良いのですが、確かめずに進むと戻る距離が伸びます。速さの価値は、確かめ方とセットでした。

そして、残す作業だけは自分でやる必要があること。理由を書く、記事にする。どちらも「説明できるか」を試す作業なので、代わりにやってもらうと試すもの自体が無くなります。

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